兄弟の奇妙な絆
従業員の三人のうちの一人は
お父さんの弟で生産性が低く、
他の二人に比べたら約半分で見るに堪えない数字でした。
それなのに、二人の軽トラと違い、良い車が与えてあり、
お父さんがひいきしているのがありありです。
他の従業員が良い顔をしていないとわかるのには
そう時間はかかりませんでした。
家賃収入のおかげで店を存続していましたが、
実質的に「赤」を作っている根源がお父さんの弟でした。
御用聞きの実績が極めて低く、俗に言う給料○○です。
他の二人からどう思われようと、
弟は兄にしがみついていくしか術がありませんでした。
お母さんにはストレスがないのだろうか、
と思っていたのもとんでもない、
これこそがお母さんの一番のストレスになっていたのです。
給料やボーナスのみならず、兄貴、兄貴と
金をむしばんでいたのです。
頼ることに慣れてしまった弟、頼られればそれ以上のことをする兄、
この兄弟関係こそが店の成長を邪魔している核でした。
女同士の時間に、お母さんはあの人のせいで
どれだけの資金を吸い取られてきたかと私に話し、
握りこぶしを作り、
中指の関節を突起してぐりぐりぐりっと、
こうしてやりたいと怒りをこらえているのを
私に吐き出しました。
この店は、
兄弟での金のやり取りがある以上、
成長の見込みのない状況でした。